”見えない”のに気が付かない~緑内障と視野の不思議~ 

前回、「緑内障ってどんな病気」で緑内障について簡単に説明しましたが、「どんなふうに見えにくくなるのか」「視野が欠けるってどういうこと?」と思っている方は多いと思います。

白内障のように見え方が白くなったり、本人の自覚がかすんだり、曇りガラス越しに見えるような病気ではなく、

緑内障は”視神経”という目から入った情報を脳へ送る大事なケーブルである神経が少しずつ弱っていく病気です。そして、その影響が出るのが「視野(しや)」と呼ばれる”見える範囲”です。

見える範囲(視野)って?

例えば、まっすぐ前を見ていても、手を横で振ると、”動いているな”とわかりますね。それは目を動かさなくても”まわり”が見えているからです。

その”まわりの見え方”が緑内障ではすこしずつ欠けていきます。しかし、ここで注意が必要なのは、「欠ける」と言っても、黒く見えなくなるわけではないということです。

見えていないのに、見えている気がするのです。

例えば、スマホの写真修正アプリの「消しゴムマジッ○」を思い出してください。風景写真から、写ってほしくないものを消しても、アプリがその部分を自然に補って、まるで何もなかったようにみえます。また、片方の眼の視野が欠けていても、片方の眼が見えていると、情報は脳で合成され、視野の欠けを感じなくするのです。脳はすごいです!!

緑内障で一部の神経が弱って見えなくなっても、脳が周りのあらゆる情報をつかって、見えない部分も、見えているように補ってしまいます。

そのため、緑内障の初期では本人も「視野が欠けている」ことに全く気が付かないし、不便も感じません。自分では気が付きにくい病気です。

緑内障の視野の欠けは、最初はごくわずか視野の中心の少し外れたところから暗い光が見づらくなり、それがゆっくり進み、だんだん明るい光も見づらくなって、さらに見ることに大事な中心部にむかって広がってきます。中心部に広がるときも、片方の目が補正できる部分からかけてくるので、かなり欠けても両目で見ていると見えているほうの目の情報で補正してしまうので、自分ではなんともないと感じてしまう方が多いです。そして、進み方は、個人差があります。

そのため、「自分では見え方に問題がない」と感じても、定期的な検査がとても大切です。

緑内障の診断にはいくつかの検査があります。

1,眼圧検査:視神経を圧迫する眼圧のコントロールはとても大事です。

2,OCT検査:見た目ではわからないごく初期の変化も見つけることが出来ます。

3,視野検査:「どの程度の光、及びどの範囲が見えているのか」を調べる検査です。視神経がどの範囲までどのくらい働いているかを確認します。

これらを組み合わせることで、まだ「まだ自覚のない段階」で病気の進行をとらえていくことが出来ます。

残念ながら、緑内障は一度ダメージを受けた神経を元に戻すことはできません。けれど、早く見つけて治療を続けることで、進行を抑えて見える範囲を守ることが出来ます。

治療の中心は「目薬」です。眼圧が高い人も、眼圧は正常でも緑内障の変化がある正常眼圧緑内障の人も、眼圧を下げて神経への負担を軽くすることで、進行を抑えます。見え方は変わらない、視野の欠けを感じない、そう思えている軽症のうちから、定期的に検査をうけ、治療を続けることが何より大切です。

次回は視野検査について、説明しようと思っています。視野検査を経験している方は「あの検査嫌いなのよ」と思われているかもしれませんが、視野検査は非常に大事な検査です。

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