眼が赤くなって、目やにが出てきた。どうすればいい?

白目や瞼の内側の表面には、それを覆う薄くて透明な膜があります。これが結膜です。この結膜には血管がありますが、この血管が拡張したり蛇行することにより白目や瞼の内側が赤くなることを充血と言います。

充血は、結膜が炎症を起こすことによって引き起こされます。そして、この結膜が炎症を起こしている状態が結膜炎です。

結膜が炎症を起こす原因は、大きくわけて2つあります。1つは他の人にうつしてしまう感染によるもの、もう1つは他の人にうつさない感染によらないものです。

感染によるものは、細菌が原因となるものとウィルスが原因になるものがあります。感染によらないものとしては、アレルギー反応によるものや、化学物質や紫外線による刺激によって起きるものがあります。春におこる花粉症などは、花粉に含まれている成分によって引き起こされるアレルギー反応で炎症が起きるのでアレルギー性結膜炎と言います。

感染による結膜炎で、ウィルス性結膜炎の原因となるウィルスは、アデノウィルス、エンテロウィルス、コクサッキーウィルス、ヘルペスウィルス、そしてコロナウィルスなどがあります。この中で特に今頃の夏に注意してほしいのは、アデノウィルスによる結膜炎です。結膜炎のほかに発熱してノドに痛みが出るプール熱(咽頭結膜熱)や、はやり目(流行性角結膜炎)がアデノウィルスによるものです。

アデノウィルスは、すごく感染力が強く、1人が感染すると同居する家族全員が感染してしまうこともよくあります。そして、感染力が強いために、はやり目(流行性角結膜炎)は学校保健安全法施行規則第18条学校感染症の第3種に指定されています。そのため、はやり目と診断されたら、学校は出席停止となり、感染の心配がなくなったと診断されるまで、学校に行けなくなります。しかも、点眼薬を使用すればすぐに良くなるかというと、残念ながら点眼を開始しても1~2週間もしくは3週間程度治療にかかる場合があります。ウィルス性結膜炎に特効薬はなく、処方される点眼薬は、炎症を抑えるステロイドなどの抗炎症点眼薬と、2次感染を防ぐための抗生物質の点眼薬になります。つまり、点眼薬は症状を緩和させるためのもので、ウィルスを根本的にやっつけるのは、自分の身体にある病気を治そうとする免疫力です。さらに、はやり目の正式病名は流行性角結膜炎と言いますが、この病名の中に角膜(黒目)という言葉が入っています。これはどういうことかというと、結膜炎(白目の充血)が落ち着いた後に1週間ほどして角膜炎を起こすことがあるのです。角膜炎を起こすと、目がゴロゴロしてきて、かすんで見えたりします。そうすると、更に1週間ほどの点眼の継続が必要になってきます。

このように厄介なウィルス性結膜炎が、この夏に大変はやっています、かからないに越したことはありません。では、予防策として最も良いものはどんなことでしょう?

答えは、こまめな流水による手洗いです。アデノウィルスなどのウィルスは接触感染です。新型コロナの感染拡大時期には皆さんのこまめな手指消毒によって、コロナだけでなく、はやり目(流行性角結膜炎)もかなり患者数が減っていました。せっかく新型コロナの時に身に着けた、手洗いなどの手指消毒の習慣で、はやり目にならないように予防していきましょう。

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