そもそも「眼圧」って何?

緑内障には眼圧が影響するって言われるけど、そもそも「眼圧」がよくわからない。と患者様から聞かれました。教科書的には、眼圧とは、眼球の内圧のことで、眼球の形状を保つ役割をもつ。眼圧は①房水産生量②房水流出率③上強膜静脈圧により決定される。と書かれています。風船にも例えられることが多く、空気をパンパンに入れた風船は触ると硬く、空気が抜けた風船は柔らかいイメージです。と言われます。と言われても??わかるようでわからない説明ですよね。今日は、「眼圧」について、書いてみたいと思います。

目をよく見てみると、虹彩と呼ばれる黒目の中心に瞳孔が穴のように開いているのが見えます。光は角膜から瞳孔を通って、水晶体と呼ばれるレンズを通り眼球の多くの部分を占めるゼリー状の硝子体を通り網膜に光を照らします。これらは、光をきれいに網膜に映すために透明です。透明であるために、人間が生活をしていくために必要な酸素や、栄養を配達してくれる血管がないのです。では、どこから酸素や、栄養をもらっているのでしょうか。

外界に接している角膜と虹彩(黒目)の間に少し空間があるのも確認できると思います。この虹彩の裏側には毛様体と呼ばれるヒダヒダがあり水晶体をスパイダーマンの蜘蛛の糸のようなチン小帯と呼ばれる繊維で水晶体を引っ張っています。今回は詳しく書きませんが、この毛様体の筋肉がギュッと縮むとスパイダーマンの糸が緩み水晶体が膨らみ近くの物を見るときにピントが合うようになります。この、毛様体から血液の成分の中から必要な成分だけが濾過され眼球内に分泌されています。この、分泌液を房水と言います。房水の角膜側は外気温で冷やされ虹彩側は体温で温められることで対流が起こります。

この房水は眼内圧の維持のほか、角膜・水晶体に酸素栄養を供給して代謝物や老廃物をもらう働きをします。そのほか紫外線を吸収もします。栄養を与え老廃物を取り込み、排出するターンオーバーは約2時間で、すべて入れ替わります。排出路は①の線維柱帯流出路から房水の85~90%、②のぶどう膜強膜流出路(10~15%)となります。

①の線維柱帯流出路では、線維柱帯が排水溝のザルのような働きをして房水を濾しその奥のシュレム管から排出されます。何らかの原因から房水が排出されにくくなると、毎分2~3μL生産される房水は少しづつ溜まっていきパンパンになり「高眼圧」となります。

あれ?眼球の前方だけの圧力だけなの?水晶体の後ろ側がパンパンになるのかと思った。と思われている方も多いかと思いますが、実は前方の房水の産生と排出のバランスの問題なのです。前方の問題でも、眼球という限られた空間の中で体積が増えたらどうなると思いますか?眼球は角膜と強膜という硬い膜で形態を保っている中で、視神経が脳に進む通路の視神経乳頭だけは、強膜がなく、篩状板という網目状になっていて圧力に弱いのです。前方の圧力が眼球の後ろ側の視神経に影響を及ぼすことがイメージできたでしょうか。

ここからは「眼圧」のミニ知識

眼圧は個人差がありますが、午前中に高く夕方は低くなる傾向があります。また、夏は低く冬に高くなることが多いです。一般的には欧米人に比べえて日本人は低いと報告されています。

お酒を飲むと眼圧は低下しますがビールなどの短時間大量摂取は一時的に水分摂取過多となり眼圧上昇の可能性となります。タバコは一過性の眼圧上昇とともに血管収縮作用があるので、緑内障で眼圧コントロールが必要な方は控えたほうがいいです。また、ステロイド薬による眼圧上昇は良く知られています。点眼でも内服でも、また外用薬でも生じます。このようなことを書きますと、必要以上にステロイド薬に対して悪い印象を感じる患者様もいらっしゃいますが、医師の指導のもと正しく使えば優れた薬です。

習慣的な運動がわずかに眼圧を低下させることもわかっています。

眼圧の正常値は10~21mmHgとされていますが、前回書いたように、この正常眼圧内でも視神経に障害が出る正常眼圧緑内障の割合が日本人は多いです。自分の眼圧を知り、その眼圧での視神経の状態を知るために、時々眼科で眼の奥を医師に診てもらうことをお勧めします。

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