私たちは、テレビをじっと見ていても上のほうでブーンとハエが飛ぶのを感じたり、横で誰かが動くのを感じますよね。これは網膜が広い範囲の光を感じているからです。
視野とは、「正面を見つめたまま、どこまで周りが見えているのか」という”見え方の広がり”のことを表します。
●正面のど真ん中:一番よく見える
●その周り:少しぼんやりだが形や動きはわかる
●さらに外側:細かいものは見えないが、光や動きは感じる
視野は「中心が精密、周りはざっくり見える」という構造になっています。
よく、緑内障の初期の視野の欠けは「周辺から欠ける」と説明されています。たぶん皆さんが想像している周辺とは一番外側ではないでしょうか、しかし、実際にかけ始めることが多いのは中心から少しだけ離れた中心10~20度にある帯状のブエルム領域と呼ばれる部分です。中心10度と言われてもどのくらいかわかりにくいと思います。(ブエルム領域という名前は覚えなくても大丈夫です)

これは視野10度を検査するアムスラー検査です。加齢黄斑変性症など、中心の視野に異常が出る疾患の検査に使います。
眼前30cmの位置で10cmの方眼を見てもらいます。大体、視野10度とは眼前30㎝で直径10cm円の範囲,
視野20度は眼前30cmで直径20cmの円の範囲を想像してもらえればわかりやすいと思います。
初期の視野の欠けの始まる場所は、思っていたより中心に近いと思いませんか?
緑内障で視野が欠け始めるのは鼻側の視野で、両目で見ているときは、もう片方の眼がカバーできる場所で自分では視野の欠けを感じることは日常生活で両目で見ている限りないでしょう。そして、視野の欠けは真っ黒に抜けるわけではなく、光に対する感度が徐々に落ちていきグレーぽく見えるようになるので、かなり症状が進んだ状態になるまで視野の欠けを感じることはできにくいのです。
感度低下が始まる場所は、中心のはっきり見たい場所ではなく、その周りの日常生活では少しぼんやり見える場所なので、視野検査で、感度が悪くなっているところがあるといわれても、「自分では何の問題もない」と感じる方のほうが多いです。
しかし、緑内障の怖いところは【気が付かないまま”見えていない状態が続き、徐々に見えない範囲が広がっていく】ことです。
そして、見えない範囲が広がっていくことで生活の安全に大きくかかわります。例えば、
◎車の運転中に横から飛び出した子供に気が付くのに遅れる。
◎右折、左折時に歩行者を見落とす。
◎運転中、信号が見えにくい。
◎自転車の接近に気が付かず、発進してしまう。
◎階段の段差が分かりにくく、踏み外してしまう。
緑内障の症状が進み、視野の欠ける範囲が増えても、中心の視野は最後の最後まで残りやすいので、視力検査では運転免許更新をクリアできてしまいます。視野の欠けが、真っ黒に塗りつぶされるような見え方なら本人も意識できますが、消しゴムマジッ〇のように背景に同化してしまったら、飛び出してきた子供は一瞬消えてしまいます。そして、正常に働いている視野に子供が入り、子供を認識出来た時には・・・・、
緑内障は、失われた視野を取り戻すことはできません。
しかし、今残っている視野を守ることはできます。
「もっと早く気が付き、もっと早く治療を始めたら、守れた視野があったのに」
「せっかく早期に緑内障を発見できて、治療開始したのに、治療(点眼)を続けていたら、守れる視野はあったのに」
そう思わずにいられないケースも少なくありません。
緑内障は早期に発見して、
●定期的に検査を受けること
●点眼を続けること
●忙しくても、自分の眼を後回しにしないこと
これらは、未来の自分の生活を守るための”投資”です。
視野は、あなたの人生の景色そのものです。好きな車の運転を安全にいつまでもできるために、球技をしていて、消える魔球を生まないために、段差を気にせず歩き回れるように、見たいものが見えるように、どうか、今の視野を大切にしてほしいと思います。
次回は視野検査について話していきたいと思います。











