前回、前々回と「OCT検査(光干渉断層計)」についてお話してきました。
糖尿病網膜症、加齢黄斑変性では黄斑の厚みを調べますが、もう一つの検査部位、視神経乳頭部は目の神経の厚みを細かく見ることができます。その神経の厚みを調べる必要がある「緑内障」についてお話します。
「緑内障」は目から脳に映像を送る”視神経”が少しずつ傷んでいく病気です。
症状が進んでも、目が緑色になるわけじゃないのに「緑」という色名がついているかというと、昔々、古代ギリシャの時代のヒポクラテスが急性緑内障発作の患者さんの目の状態をみて、
「地中海の海のような色のように青くなり、やがて失明状態になる」と書き残したところからきています。瞳の色が薄かったり、青い瞳の人が、急激に眼圧が上昇したために角膜が少しむくみ、白濁し始めている状態で、外から目の奥を見たとき白濁した状態で暗い眼底をのぞくことになり、青緑色にみえたと考えられます。なので、瞳の色が暗い日本人は緑内障になっても緑には見えません。昔の日本では緑内障のことを「あおそこひ」と呼んでいましたが、眼底に障害が起こり見えなくなる。暗くなることを表しています。
少し雑談が長くなりました。
目から入った映像の情報を脳に送るケーブルである視神経がダメージを受けると、見える範囲(視野)がすこしずつ欠けてきます。
ところが、この「見えにくさ」はとてもゆっくり進むため、初期のうちは自分では気が付かないことが多いのです。
「最近、視力が落ちたかな?」と感じたときは、すでに神経の一部が傷んでしまっていることもあります。なぜ、神経が弱ってしまうのでしょうか、
目の中には、風船のように膨らんでいる”内圧”があります。これを「眼圧」といいます。眼圧が高くなると、パンパンに膨らんだ風船のように、視神経に圧力がかかり、少しずつダメージが進んでしまうと考えられています。眼圧の正常値は10~21mmHgとされていますが、日本人の多くは、眼圧が正常値内でも緑内障になる「正常眼圧緑内障」なので、眼圧が正常値内だから安心というわけにはいかないのです。
OCT検査では、視神経の厚みをミクロン単位で測ることができます。視神経の束は、乳頭から広がるように伸びていますが、緑内障ではこの神経の層が少しずつ薄くなっていきます。
糖尿病網膜症や加齢黄斑変性では、網膜が浮腫んで厚くなっている部位がOCT画像では赤く示されていましたが、緑内障でOCTの画像を見たときは、神経が健康な部分は緑色、そして薄くなっているところが赤で表示されることが多いです。


つまり、正常な状態から外れていくと黄色から赤色なっていくと考えてください。
この変化は、自分で見えにくい、視力が悪くなった気がする、と思う前から始まります。だからこそ、OCTでの早期発見がとても大切なのです。
白内障は手術である程度治すことができますが、
【緑内障は、残念ながら、治して、元に戻ることはできません】
でも、早く見つけて、早く治療を始めれば進行を抑えることはできます。
治療の基本は「目薬」です。眼圧を下げることで、視神経への負担を減らし、これ以上悪くならないように守ります。効果が十分でないときは、レーザー治療や手術を行うこともありますが、手術を受けても視力や視野が元に戻ることはありませんので、「いざとなれば、手術を受ければいいや」などの間違った考えを持たないで下さい。
一番大切なのは、治療をやめないことです。緑内障の目薬は、アレルギーの薬のようにかゆみを抑えたり、ドライアイの目薬のように潤いを与えたりするように、目薬の効果を自分では感じにくいです。また、さし心地がいいわけではなく。自己判断で点眼をやめてしまう方もいます。
そんな方も、視力の低下、視野のかけ(見える範囲が狭くなる)を感じてからは、まじめに点眼を始めますが、失ったものを、取り戻すことはできません。
「今の見え方を、これからも守る」
そのために定期的な検診が大事です。
少々、目薬のなくなる量についてうるさく言ってしまいます。
目薬1本は両目にさして1か月で使い切れる量になっています。1か月たっても、両眼に点眼薬を使用して1本使い切れないようであれば、使用量が少なく、薬の効果が出ないで悪化していく場合があります。せっかく検診にきて、目薬の治療をしているのならば、きちんと必要量を点眼して、きちんと目薬の効果を発揮させないともったいない!
【【今の見え方を、少しでも長く維持してもらいたい!進行を抑えてもらいたい!】】
そんな思いで、少々うるさく言ってしまいます。こんな思いを、わかっていただけたら幸いです。
世界緑内障週間を知っていますか?毎年3月上旬に行われます。今年は3月8日~14日です。
日本緑内障学会が中心となり全国のランドマークや医療機関が緑色にライトアップする活動が行われます。











