眼瞼下垂 ~まぶたの話 1~

まぶたが重い、目が開けづらい、視界が狭く感じる、目が細くなった。 こうした症状を訴える患者さんは、年齢を問わず増えています。先月の記事では、当院で導入した自由診療の点眼薬「アップニーク」の診察の流れや費用についてご紹介しました。今回は、そもそも 眼瞼下垂とはどんな状態なのか、そして アップニークがどのようにまぶたの開きを改善するのかを、できるだけわかりやすくお伝えします。

また、眼瞼下垂には「神経のトラブルや自己免疫疾患」が原因となるタイプもありますが、こちらは説明が少し複雑になるため、今回は軽く触れるだけにし、次回の記事で丁寧に解説する予定です。

■ 眼瞼下垂とは?

眼瞼下垂(がんけんかすい)とは、まぶたを持ち上げる力が弱くなり、まぶたが十分に上がらなくなる状態のことです。医学的には「上まぶたが黒目の上方を覆いすぎてしまう状態」と定義されますが、患者さんが感じる症状はもっとシンプルです。

  • まぶたが重い
  • 目を開けるのが疲れる
  • おでこに力が入る
  • 眠そうに見えると言われる
  • 視界が狭く感じる

こうした症状が続くと、眼精疲労や肩こりや頭痛につながることもあり、日常生活の快適さが損なわれます。

■ 原因はひとつではありません

眼瞼下垂というと「加齢でまぶたが下がる」というイメージが強いかもしれません。しかし、原因はそれだけではありません。

● ① 加齢による筋肉や腱のゆるみ

もっとも一般的な原因です。長年のまばたきや摩擦によって、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)と腱のつながりが弱くなり、まぶたが上がりにくくなります。

● ② コンタクトレンズの長期使用

特に ハードコンタクトレンズを長年使用している方は、眼瞼下垂が起こりやすいことが知られています。

理由は、 装着・取り外しの際にまぶたを引っ張る動作が多いこと、 そして レンズがまばたきのたびにまぶたの裏側に軽い摩擦を与えることです。

この「日常的な負荷」が積み重なると、 まぶたを持ち上げる腱膜が少しずつ伸びてしまい、 加齢性眼瞼下垂と同じメカニズムでまぶたが下がりやすくなります。

ソフトコンタクトでも、長期使用+まぶたをこする癖がある方はリスクが上がります。

● ③ まぶたをこする癖

アレルギー疾患の花粉症やメイクで「目をこする」行為も、眼瞼下垂の原因になります。

まぶたをこすると、 眼瞼挙筋腱膜が物理的に引っ張られ、伸びてしまうためです。

以下のような動作は特に負荷がかかります。

  • 目をゴシゴシこする
  • まぶたを押し上げる
  • アイメイクを強く落とす
  • まつげを引っ張る
  • まぶたを引っ張る癖がある

こうした行為が積み重なると、腱膜がゆるみ、まぶたが上がりにくくなります。目がかゆいときゴシゴシこすっていませんか?つけまつげや二重糊のア〇プチでまぶたを酷使してませんでしたか?

● ④ 神経のトラブルによる眼瞼下垂

まぶたを持ち上げる主力の筋肉である 上眼瞼挙筋は動眼神経(第III脳神経) によって動かされています。 この神経にトラブルが起こると、筋肉そのものが正常でもまぶたが上がらなくなることがあります。

以前のブログで「脳神経外科に行けって。どういうこと」というテーマを扱いましたが、 目の症状が、実は脳の神経から来ていることがある――眼瞼下垂もその一つです。

● ⑤自己免疫疾患の重症筋無力症

重症筋無力症は、神経から筋肉への信号伝達がうまく行えなくなり筋力低下を起こす自己免疫疾患で、筋肉そのものや脳には異常がありません 。初期症状として最も多いのは眼症状で、夕方になると眼瞼下垂の症状が重くなったり、物が二重に見えたりするのが典型的です。

ただし、神経性の眼瞼下垂や重症筋無力症は説明が少し複雑になるため、次回、書きたいと思います。

■ まぶたを持ち上げる筋肉は2種類

まぶたを持ち上げる仕組みは、実は「二重構造」になっています。

  • 上眼瞼挙筋(横紋筋:自分でコントロール可能)  → 動眼神経で動く、まぶたを持ち上げる主力の筋肉
  • ミュラー筋(平滑筋:自分の意志でコントロールできない)  → 交感神経(自律神経)で動く、補助的な筋肉

ミュラー筋は補助とはいえ、まぶたの開きにしっかり関わっています。

例えば、びっくりしたときに目を見開くなど自分で目を大きく開けようとするわけではないのに、勝手に目が見開いてしまっている、そんなときに作用する筋肉です。 この筋肉が収縮すると、まぶたが数ミリ持ち上がります。

■ アップニークがまぶたを上げる仕組み

アップニーク(オキシメタゾリン)は α1受容体刺激薬で、交感神経系を介してミュラー筋を収縮させます。びっくり目を約8時間保持できるというわけです。

● ミュラー筋に作用する点眼薬

アップニークを点眼すると、 約15分でミュラー筋が収縮し、まぶたが数ミリ持ち上がる作用が現れます。 効果は 約8時間持続するとされ、日中の見た目や視界の改善に役立ちます。

● 手術ではない“気軽な選択肢”

眼瞼下垂の治療というと「手術」を思い浮かべる方が多いですが、 アップニークは点眼だけでまぶたの開きを改善できる新しい選択肢です。

■ 神経性の眼瞼下垂と重症筋無力症については次回の記事で詳しく解説します

眼瞼下垂には、加齢やコンタクトなどの“まぶたの構造のゆるみ”が原因のものだけでなく、 脳から出る神経のトラブルで起こるタイプや自己免疫疾患の重症新無力症もあります。

  • まぶたが急に下がった
  • 夕方になると瞼が下がる
  • ものが二重に見える

こうした症状がある場合は、眼科だけでなく脳神経外科や内科の受診が必要になることがあります。

この“神経性の眼瞼下垂、重症筋無力症”については、説明が少し複雑になるため、 次回の記事で、できるだけわかりやすく丁寧に解説します。

■ アップニークは「まず試せる」治療

当院では、アップニークを初めて相談される方に 院内でのトライアル点眼 を行っています。 実際に点眼し、まぶたの開きの変化を確認していただくことで、 「自分に合うかどうか」をその場で判断できます。

アップニークをトライアル点眼し、点眼前の状態を撮影し、点眼後の状態と医師と一緒に効果の確認をします。その時、自分の目の開き方が点眼前と、点眼後の状態がそんなに変わっていないと思われている方が、医師が撮った写真を見て、こんなに効果が出ているの!?と驚かれることが多い印象があります。

鏡で自分の顔を見るときやスマホなどで自撮りするときは、自然に眉を上げおでこの筋肉を使い目を見開いた状態の自分の姿です。

目を大きく開こうとする時間が長くなると頭痛や眼精疲労などの症状を引き起こすことになります。

一度目を閉じてから、おでこに手のひらを乗せおでこの力を使えないようにした状態で、自分の目の開きを見てみてください。その状態が、普段、頑張って目を見開こうとしていないときの目の開き方の状態です。

まぶたの下がりが気になっているけれど、「まだ手術するほどではない」「手術は怖い」「まずは軽い治療から試したい」「ちょっとだけ目を大きくして見た目を整えたい」という方にとって、 アップニークは非常に取り入れやすい選択肢です。

■ 最後に

眼瞼下垂は、見た目だけでなく、視界や日常の快適さにも影響する症状です。 原因は加齢だけでなく、コンタクト、まぶたをこする癖、けが、そして神経のトラブル、自己免疫疾患など多岐にわたります。

アップニークは、まぶたの開きを改善する新しい点眼治療として、 「まず試してみたい」という患者さんにとって大きな助けになります。効果には個人差があります。そして効果は数ミリ・・・「もっと瞼が上がると思ったのに」と治療継続を望まない患者様もいるのも事実です。

初回診察、トライアル点眼付きで1,500円です。「効果を試すだけ試してみてから点眼治療を続けるか考えてもいいですか?」と聞かれることがあります。答えは「はい、ぜひ試してから決めてください試さないとわからないです」気軽にお声掛けください。

費用や診察の流れについては前回のブログを見てください。

次回は、眼瞼下垂の中でも少し複雑な 神経性の眼瞼下垂重症筋無力症 について、 できるだけわかりやすく書きたいと思っています。

まぶたの症状で気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

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