視力1.1とか1.3、なんでないの?

0.1,0.2,0.3・・・・0.9,1.0,1.2,1.5,2.0、視力検査って、0.9から急に雑じゃない?0.1ずつきちんと何で測らないの?そう思いませんか?1.0の次が1.2,1.5,2.0,その理由を先月「視力1.0ってどのくらい?」てサラッと書いたETDRTチャートで測る対数視力を説明しながら書いてみたいと思います。

普段使っている小数視力は視角(判別できる角度)に反比例する数値で、実は各視力値の段階は実質的な差ではありません。つまり0.1と0.2との差と0.4と0.5の差は数値的には同じ0.1ですが、「視力の差」と考えると同じではありません。

視角の対数で表す、対数視力(logMAR値)は視力の差が同じです。そのためにはそれぞれの視標のサイズだけでなく視標と視標の間隔も同じようにサイズダウンしていくので指標が小さくなるにつれ文字と文字の間隔が狭くなりごちゃごちゃとした視標になります。

視角(分)小数視力logMAR
10.00.1+1.0
8.00.125+0.9
6.30.16+0.8
5.30.2+0.7
4.00.25+0.6
3.10.32+0.5
2.50.4+0.4
2.00.5+0.3
1.60.63+0.2
1.250.8+0.1
1.01.0 0.0
0.81.25-0.1
0.61.6-0.2
0.52.0-0.3

小数視力1.0はlogMAR値は0.0で、それより悪いと「+」良いと「ー」に増減します。写真のETDRSチャートの一番上は4mの距離で5つとも読めれば小数視力では0.1、logMAR値では+1.0です。視力の測り方は左端から読んでもらい5個読めれば、その下の段をまた左端から読んでもらいます。例えば上から7段目(+0.4)まで全て読めたけど8段目(+0.3)は2番目の5まで読めたが3番目の6が読めなかったら、+0.3は2/5となります。計算はどうなるのかというと数字が1つ読めるごとに0.02引いていきます。読めたのに引くのはおかしいと思うかもしれませんがlogMAR値は数字が少ないほど良い視力です。ということで+0.4-0.02×2=+0.36 logMAR値は+0.36です。logMAR値+0.36ってどのくらいなの?って当然思いますよね。表を見ると小数視力だと0.4以上0.5未満ぐらいになり、0.5p(パーシャル、1部分が見える)と書かれる視力です。小数視力だとザックリ1部が見えるという表現がlogMAR値ではどのくらいの一部なのか細かく数値化できるのです。

対数視力(logMAR値)が0.1増減することを、視力が1段階良くなったとか悪くなったと言います。小数視力0.1と0.2はlogMAR値では+1.0と+0.7で0.3の差があり、3段階の視力の差です。その反対に小数視力0.8と1.0の差は0.2ありますがlogMAR値は1段階の差という事になります。

眼科に行くといつも視力検査するけど、そんなに変わらないよ。めんどくさいからパス出来ないの?と検査時におしゃる方が時々います。例えば前回はレンズで矯正したら(0.2)まで見えていたのに今回は(0.1)、そんなに変わらないと思うかもしれませんがこの(0.1)の(0.2)3段階の視力低下を眼科医は何が原因なのか?と慎重に診察するのです。

普段私たちが使う小数視力の1.1や1.3がない理由がそろそろわかってきましたか?そうです、小数視力1.0、1.2、1.5、2.0は1段階ずつの差です。決して雑に測っているわけじゃなかったんです。

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