色覚の話 2 色って

桜の花の色、若葉生い茂る山の色、どんな色?って聞かれたら、桜はピンクだし、若葉は緑と答える人が多いと思います。

では月も出ていないような真っ暗な夜に見るさくらの花や、若葉の色はどうでしょう。その時も、ピンクや緑と答えるでしょうか。

そうです。色を感じるには光が必要で、その光を感じる視覚がないと成り立ちません。

光の3原則って言葉、聞いたことがありませんか?驚くことにテレビやカラーディスプレーの鮮やかな映像は赤と緑と青のたった3色の光だけで成り立っています。赤い光と緑の光が混ざると黄色になり、赤、緑、青すべてが混ざると白になります。赤と緑と青の光の割合を変えるとほぼすべての色が再現できるのです。

前回「選択の廟」色覚の話の中で、生まれつき赤と緑の見分けがつきにくい特性について書きました。光の3原則の話からの赤と緑の話、何か関係があるのかもしれないと勘が鋭い方は感じているかもしれません。

人間の網膜には光を受けると反応する視細胞が2種類あります。明るいところ働く錐体細胞と暗いところで働く桿体細胞です。明るいところで働く錐体細胞は色を感じることが出来るのですが、暗いところで働く桿体細胞はわずかな光にも反応することが出来ますが、光の強度を判別するだけで色を感じることはできません。

錐体細胞には、赤に反応する赤錐体、緑に反応する緑錐体、青に反応する青錐体の3種類あります。光が目に入った時にこの3つの細胞がどのくらい反応したかの割合で色を感じることが出来るのです。遺伝的に少数色覚特性を持つ人は、この赤錐体または緑錐体がなかったり、一部が欠損しているために色の感じ方が違ってきます。ちなみに、正常3色覚の場合、、赤錐体60%緑錐体30%青錐体10%と言われています。

生まれながらに色の感じ方が違う特性を持つ(先天性)以外に、病気で色の見え方に異常を感じることもあります。後天色覚異常と言います。先天性は左右差がなく程度の変化は起きませんが、後天性は左右差や程度も変化します。原因となる病気の症状が収まると色覚異常の程度は軽減しますが、治癒後も見え方に異常が残る場合があります。

網膜や視神経の病気では錐体の中でも割合が少ない青錐体のダメージを最初に感じやすくなります。後天青黄色覚異常と言います。進行していくと赤と緑の錐体もダメージを受け赤緑色覚異常も加わります。

また白内障でも青黄色覚異常が出ます。ガスコンロの青や黄色の炎が見えづらくなるので注意が必要になります。

そのほかには脳梗塞や脳腫瘍などによって脳にダメージを受け、色覚異常が起こることもあります。

次回は色覚の検査について簡単に説明していきたいと思います。

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