視力1.0って、実際どのくらい見えてるの?って思いませんか?
日本での視力検査はランドルト環と呼ばれる「C」の切れ目を上下左右4方向答えてもらいます。このランドルト環はフランスのランドルトという眼科医が1888年に考え、1909年にイタリアで開かれた第11回国際眼科学会で制定された後、日本で視力検査の視標として使っています。国際眼科学会で制定されているのだから世界中でランドルト環が使われているのかと言うと、そうではなくアメリカや中国では「E」の視標を使って検査しています。「Eチャート」と言います。また欧米では複数のアルファベットが並んだ「スネレン視標」を使っていて全世界的に同じ視標を使って測定しているわけではありません。そのため研究などではETDRSチャートという数字が横1列に5個書かれている視標を使います。これは数字と数字の書かれている幅が等間隔になっていて数字が小さくなるにつれ尻つぼみになりランドルト環指標のように縦1列には並んでなく視標は逆三角形に数字が並びます。この視力はlogMAR視力と言って対数視力になっています。
どんな視標を使ったとしても通常「視力」というと遠見の視力を言います。遠見視力というのは目のオートフォーカス機能を使わないリラックスした状態の時の見え方です。大体4mぐらいから人はオートフォーカス機能を使い始めます。そのためオートフォーカス機能を使わない距離として視力検査の視標はランドルト環は5m、Eチャート、スネレン視標は6mに置いて検査します。時々5mの視力ではなく10mとか15mの視力が知りたいとおしゃる方がいますが、あの5m先の視力は理論上は無限遠方∞オートフォーカス機能を使わない時の視力で10m・15mの視力も同じという事になります。
え?眼鏡屋さんや運転免許での視力検査は5mじゃない!!って思うかもしれませんが機器の中の見え方が遠くに見えるような工夫がされていて近くにあっても無限遠方なんです。
5m視力表の1番上の0.1の視標の大きさは外径7.5cm、切れ目は1.5cmです。切れ目の5倍サイズが外径になります。では1.0の視標のサイズはどのくらいになるかというと外径7.5mm、切れ目は1.5mm。0.1の指標の1/10サイズ。5m先の1.5mmの切れ目がどっち側に向いているかを何となくでも、もしかしたらでも3/5判別できれば視力1.0です。
勘だよ勘!!こっちかな??って感じだよ!見えているうちには入らないよ。と感じながら検査している方もいると思います.
1.0の視力と言ってもみんなが同じような見え方で感じているわけではありません。ある人はすべての視標の向きがハッキリクッキリ見える。またある人はすでに0.8ぐらいからボヤっと見え始め、勘だよ勘!!と答え、本人的にはまぐれで方向を当ててると思っているような見え方の人も同じ視力1.0です。まぐれだと思っていても、脳で何となく上が空いているようだ。とか右が開いているみたい。など感じているから答えられるのです。もちろん全然違う場合もあるので60%以上の個数を答えられたクリアと決めてあります。安心して下さい。また眼鏡を作るための視力検査ではなく「脳が見えたと感じる能力」を測る検査なので「何となく」でも「もしかしたら」でも空いていると思う方向を答えて下さい。
近くが見えにくくなったなどの症状があった時は近見視力を測ります。5m視力表の1.0の視標のサイズは外径7.5mm、切れ目は1.5mmでしたが、30cmで測る近見視力表の1.0の視標のサイズはどのくらいだと思いますか?なんと外径0.45mm、切れ目は0.09mm。
5m視力表の1.0の視標が見えて、調節力(オートフォーカス機能)が3D以上あれば30cmの距離で切れ目0.09mmが理論上判別できます。が、自分の持っている能力全て使うわけではないので、近くが見えにくくなったな。とか目が疲れるようになったな。など感じた時は手元用の眼鏡を使って少し自分の眼に楽をさせてあげるといいですね。