光で見る目の奥~OCT検査ってどんな検査?

「赤い線が目の前をスーって動きますが、赤い十字の真ん中を見続けてください」

OCT(光干渉断層計)検査を受けたことがあるなら、そんな言葉を聞いたことがあるかもしれません。

この検査は、まぶしいフラッシュの光を浴びることもなく、数秒で終わる簡単な検査ですが、その中にはとても高度な技術が使われています。

OCTは、光を使って目の奥(網膜)の断面をミクロン単位で撮影する装置です。

まるでCTやMRIの「眼の中版」ともいえるすごい検査機器で、放射線を使わずに光だけで肉眼では見えない網膜の構造を立体的に見ることができます。

私たちの目の奥には、カメラに例えるとフィルムのような働きをする「網膜」があります。

この網膜は1枚の幕のように見えても、実際にはいくつもの層が重なってできています。OCTはその層をひとつひとつ分けてみることができるので、病気でどの層に異常があるのかを詳しく調べることができます。

撮影された画像は厚みや状態の違いが色分けされて表示されます。

多くの解析では、緑は正常、黄色や赤が異常を上を示すことが多いです。これは、同じ年齢の健康な人のデータと比べて、検査を受けた方の網膜の状態を表しているのです。

解析で異常の赤色を示しても、検査の種類によって違ってきます。機器を覗いたとき、真ん中にある赤い十字を見てもらい検査を行う、黄斑部(ものを見るのに一番大事な場所)では、むくみや水が溜まって網膜が厚くなると、赤く表示されます。

一方、赤い十字が鼻側に見えるときは、乳頭部(視神経の出入り口)の検査をしていて、緑内障の状態がわかります。乳頭部の解析では神経線維の薄くなっている部分が赤く表示されます。つまり、この場合は「神経が減っている」サインとなります。

同じ赤色という異常を表す解析結果でも

・黄斑部では「網膜が厚くなっている状態」

・乳頭部では「網膜表面の神経線維が薄くなった状態」

どの部位をどんな目的で検査しているのかを知っておくと、混乱せずに理解しやすくなりますね。

OCT検査では検査をする人の年齢や性別が入力されます。これは、検査結果を同年代の平均値と比べるためです。

加齢により、網膜や神経の厚みは少しずつ薄くなるため、若い人と同じ基準で比べてしまうと、必要以上に「薄い」と判断されてしまいます。また、眼球の大きさによっても補正が必要となりますので、OCTはその人にあわせたデータを使い、より正確な結果を表示できるようになっています。

OCTは、平面だけではなく立体(3D)画像としても解析ができます。網膜の凸凹やむくみの範囲、出血の影響など立体的に再現し、病気の変化を「見てわかる形」で確認できるのです。

治療の前後を比較すると、「むくみが減って平になっている」など、改善の様子も一目でわかります。

【OCTが役立つ病気】

糖尿病網膜症:黄斑にむくみがないかを確認

加齢性黄斑変性:新生血管によるむくみや滲出液・出血の貯留を評価

・網膜静脈閉塞症:網膜のむくみの範囲を測定

・緑内障:神経や神経線維の厚みを解析

OCT検査は、痛くも、まぶしくもなく数秒で終わる検査です。その中で得られる情報は非常に多く、診断や治療方針の決定に欠かせません。OCT検査は肉眼では見えない変化を早期に見つけ、病気の進行を防ぐためにとても大切な検査です。

次回は、OCT検査機器でできる、OCTA検査について簡単に説明したいと思います。

OCTAはなんと、光で網膜の血管まで見えてしまうのです。

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