見え方が変だから眼科に行ったのに、「まずは脳神経外科に行って脳の状態を診てもらってください。」って言われた。なんで???と思われるかもしれません。
なぜ眼科的治療を行う前に脳の状態をチェックしなければならないのかを今回は簡単に説明したいと思います。
脳は体のあらゆる働きに指令を送っている重要な器官です。その司令塔である脳になんだかの異常が発生すると、体のさまざまな部分にも異常が出る場合が多いです。
脳からは12本の脳神経が出ていて、2番目の脳神経(視神経)が「物を見る」ことに関係しています。目から入った光を網膜に映し、それを視神経を介して脳が感じて「見ている」ので「目で見ている」というよりは「脳で見ている」と言っても過言ではありません。
ものが見にくいなど眼科的症状の一部は脳の障害で生じることがあるのです。片側の視神経が腫瘍などで障害されると視野障害や視力低下が起こり、視路と呼ばれる大脳の中の神経経路が障害されると障害された部位によって、視野の一部が欠けます。また、両眼で見たときに物が2重に見える複視は、脳神経の中の眼の動きを支配している3本の神経、動眼神経・滑車神経・外転神経の障害で起こることがあります。視力は問題ないのに片側の瞼が下がり、物が2重に見えて見づらい症状が出たときは、眼や瞼を動かす動眼神経が脳動脈瘤などで圧迫されていることを疑う必要があるのです。こういった理由から「まずは脳神経外科で脳の状態を診てもらってください。紹介状を出します。どこの病院が行きやすいですか?この辺の病院だと○○病院と△△病院、それと◇◇病院がありますが・・・」と患者様に話すのです。