硝子体注射を続けているのに
「なかなか視力がよくならない」
「注射をしても変わらないような気がする」
そう感じている方はいませんか?本当に注射は効いているのか不安に思うのも当然です。
でも、その「変わらないような気がする」この状態こそが注射の効果が出ている証拠です。
注射の目的は【悪くならないようにすること】
糖尿病網膜症や加齢黄斑変性などの病気では、目の中に新生血管という異常な血管ができたり、網膜の中や下に「むくみ」がたまったりします。これらの原因は【VEGF(血管内皮増殖因子)】という物質が増えることにより引き起こされます。
硝子体注射で使う【抗VEGF薬】は字の通り、VEGFの働きを抑えてむくみや出血を落ち着かせる薬です。残念ながら注射は”見え方を元に戻すため”というよりは、【これ以上悪くしないため】にするのです。
なぜ見え方がもとに戻らないのでしょうか、病気が長く続くと網膜の神経がダメージを受けてしまうことがあります。この神経のダメージは一度受けてしまうと、完全には元に戻らないのです。
硝子体注射は【これ以上視力を落とさない。今の見え方を守る】ために大切な治療なのです。
でも、硝子体注射をしたら、「前よりハッキリ見えるようになった」「ゆがみが少なくなった」って言ってた人がいるよ、よくなる人だっているのになんで【変わらないのが効いている証拠】なんて納得がいかない。そう思う方もいるかもしれません。
この違いは『網膜の神経がどのくらい元気に残っているか』によって変わります。むくみが出てすぐに治療を始めた人は神経がまだしっかりしているために、むくみが引くと視力が回復することがあります。反対に、むくみや出血が長く続いていた場合、網膜の神経がすでにダメージを受けてしまい、むくみが取れても視力が戻りにくい、現状維持の場合があるのです。
硝子体注射は1回で終わる治療ではありません。治療開始時には、毎月1回硝子体注射を3回続けて、その後は病気の症状に合わせて、数カ月ごとに注射を続けていく必要があります。
通院が大変だったり、費用の負担を感じたりかもしれません。それでも医師が「注射をした方がいい」というのは【再発を防ぎ、今ある見える力を守るため】なのです。
新生血管によるむくみや出血は、目だけの問題ではありません。血糖値や血圧、コルステロールの状態が悪いとVEGFが増えやすくなってしまいます。
食事や運動、禁煙など、体の健康を整えることが、目の健康を守る近道です。内科の先生とも協力しながら、体全体を整えていきましょう。
院長ブログを始めた頃に「硝子体注射について」のブログも書いています。よろしければ合わせてお読みください。











